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3つの条件

要点

  • 多様性とインクルージョンは独特なため、各々を認め・理解することが必要です
  • 多様性とインクルージョンは関連しています
  • 多様でインクルーシブな職場を作るには3つの要素があります

(*)インクルーシブとは職場などを構成する人々全てを「包含」する・巻き込むことを指します。

個人・グループの特有のニュアンスを 理解し、それぞれに合う戦略を策定する。

過去2年間で組織や社会で人々の違いを認識・理解することの難しさの意識がより高まっています。

#MeToo運動から様々な記事のヘッドラインスキャンダルまで、職場について語られる時には、多様性(ダイバーシティ)とインクルージョンが注目されてきました

ただし、「多様性」や「インクルージョン」が語れる際、混同されることも多く、それぞれの微妙なニュアンスが人事戦略や実践に与える影響についてあまり注意が払われませんでした。

ギャラップ社の調査によれば、多様でインクルーシブな企業文化を構築するにはこれらをまず似て非なるものであることを理解するのが第一歩です。

多様性(ダイバーシティ)

多様性とは人口統計的にも見られる例えば、人種、宗教、性別、性的指向、年齢、社会経済的地位または身体障害など幅広い違いを指します。また、多くの企業はライフスタイル、性格、視点、意見、家族構成、教育レベル、または勤続年数などを多様性の要素として捉えています。

何十年も多様性をベースに企業は意図的に雇用や昇進を推進してきました。人事管理協会の調査によれば55%の回答者は、雇用主の方針が多様性とインクルージョンを促進すると「非常に強く同意」または「強く同意」するという結果でした。 また、デロイト社の調査では両者とも企業幹部の69%が重要な問題として評価されました。

これらのデータは組織において多様性を持つことはもはや倫理的にもビジネス的にも「好ましいこと」ではなく「やらなければならないこと」であることを示唆しています。

多くの企業はライフスタイル、性格、視点、意見、家族構成、教育レベル、勤続年数 などを多様性の要素として捉えています。

多様性を企業の方針とするためにはそれを明確にする必要があります。例えば「多様なチームを作ることが当社の方針のため、人事戦略は特に高齢者の採用を奨励します」。このようなアプローチはリーダーによる多世代、多民族そして多種の経歴を持つ従業員が継続的にパフォーマンスを向上できるような人事戦略の設計に役立ちます。

リーダーが多様性を評価するには企業のすべてのレベルで様々な役割において複数の構成要素(人口統計、社会、その他)を定量化する必要があります。

インクルージョン(包含)ははるかに微妙なアプローチを必要とします。

インクルージョン(包含)

インクルージョンは多様性とは全く別物として理解する必要があります。単に人口統計学的特性を幅広く組織に受け入れても、それぞれの従業員が歓迎されていると感じない限り、組織の収益性には貢献しません。

インクルージョンとは企業文化または職場環境として従業員が帰属意識を持つ、感じることを意味します。

インクルージョンの程度は従業員が評価され、尊敬され、受け入れられ、フルに組織に参加する事を奨励されているかなどにより測ることができます。

インクルーシブな職場環境にいる従業員はそれぞれの特性が感謝されるため、自分の考えを共有、またその他の面でもありのままの自分を自由に表現できます。

課題(チャレンジ)

多様性とインクルージョンは違いがあるにもかかわらず多くの場合、混同されます。

なぜ混同されるのでしょうか。それは多様でインクルーシブな環境を築く場合、両者は密接に絡み合っているからです。ハーバードビジネスレビューの記事「多様性はインクルージョンなしには上手くいかない」によれば、

「職場において多様性は代表であり、インクルージョンがなければ多様な才能を引き寄せ、参加を奨励し、イノベーションを促進させ、ビジネス成長を起こす重要な繋がりが持てません。」

そのため、多様性とインクルージョンは相互に作用し、結果に影響します。

ただし、両者が根本的に違うものであることをリーダーが理解する事は必須です。違いを通して、主要な課題でもある多様な従業員が企業業績に与える影響の理解そして幅広い視点を最大に活かす職場環境づくりに役立ちます。

インクルーシブな職場環境の従業員はそれぞれの特性が感謝されるため、自分の考えを共有、その他の面でもありのままの自分を自由に表現できます。

もちろん、多様性やインクルーシブである特性を活用するにはリーダーがまず企業文化の一環として「多様性」を定義し、どのようにそれぞれのチームでそれを包含するかを考える必要があります。その後、実際のデータで多様性やインクルージョンがあるかを客観的に確認するします。

まずは質問から

企業の人口統計的な特性を見いだすのは比較的容易な定量的なプロセスです。一方、企業文化のインクルージョンの程度を測るのは定性及び定量的な情報が必要です。

リーダーは質問することにより、情報収集をします。

環境、企業文化について従業員がどう感じているか、思っているかを問いかけます。

従業員に対して職場で「モードスィッチ」、つまり職場でのみで使う(他では使わない)言葉や表現があるか尋ねます。従業員が自らの経験に基づく意見が言いやすい、自分の視点が受け入れられると感じているか問いかけます。

そして、聞いてから答えを

「全ての従業員がその声を活かせる企業文化を構築する」

全ての意見が歓迎され、尊敬され、傾聴される企業文化を促進すること

従業員の回答に耳を傾け、慎重に定量データと並べてみると多くの場合、より大きな課題が浮き彫りになります。

どの課題から着手すべきか迷っているリーダーは、従業員の回答の中で最も注意を払うべきものから始めるべきです。

いずれにしても多様性とインクルージョンの改善には企業のトップが設定する雰囲気や価値観が反映されます。

企業のミッションや価値観をすでに定義している組織は基盤を有します。明確なミッションを持たない企業はまずそこから始めます。

従業員の回答に耳を傾け、慎重に定量データと並べてみると多くの場合、より大きな課題が浮き彫りになります。

ミッションを出発点にリーダーはインクルージョンを企業文化の課題として挙げます。

これにより企業が重視する価値とアクションを結びつけることができます。例えば「インクルージョンは企業が重視する価値なので、相互に尊敬することが必要で」それを通して生産性、利益、業績を向上させることができます。

ギャラップ社は世界で最も生産性の高い職場を研究した結果、そこでは企業文化の一環として、個人特有の強みに価値を見出していました

3つの条件

次に企業が重視する価値を活かした、多様性とインクルージョンを別々にターゲットした戦略を策定します。

ギャラップ社の研究によれば、各戦略には3つの必要条件があります。

1. 従業員は尊敬・尊重されている

インクルーシブな文化の根本には尊敬の念があります。従業員は尊敬され、互いに礼儀正しく振舞わなければなりません。

ギャラップ社は尊敬と最も高い相関関係があるのは差別とハラスメント報告ということを発見しました。敬意を持って扱われていないと答えた人の90%は職場で35の異なる差別またはハラスメント経験を少なくとも1つ報告しています。

会社が期待する行動の一つが「尊敬すること」だということを知るだけでも、従業員は発言、新しいアイデアを共有することがしやすくなります。

2. 従業員の強みに価値を置く

企業は効果的なコラボレーション、生産性、収益性のためにクリフトンストレングス開発を戦略として取り入れます。あまり思いつかない組み合わせですが、クリフトンストレングスの活用は企業業文化のインクルージョン構築に役立ちます。

ギャラップ社のある調査によれば、ストレングス(強みの)コーチングを受けた人々は受けていない人と比べて、インクルージョンについて著しい改善が見受けられました。

3.リーダーは正しいことを実行する

周知の通り、企業がそもそも多様性の方針を持つ理由はそれが正しいことだからです。

それ自体は良いことです。

ただし、その多様性の戦略に従って、インクルーシブな文化を促進するにはリーダーは価値観と意図を明確にする必要があります。

リーダーは意図的に従業員が安心して自分を表現しても良いと感じる環境を作る必要があります。そこは具体的に懸念事項を透明性と自信を持って言える場所でなければなりません。

企業文化のインクルージョン評価の依頼を受けるとギャラップ社では常にその組織における信頼の様々なレベルを分析します。

組織が全従業員に対して公平か、信頼が持てるオープンな職場環境を上司が構築しているか、差別的な問題が起きた場合にリーダーが正しいことをするだろうという信頼を従業員が持つかなどの質問をします。

採用、仕事の与え方、報酬の評価、昇進の決定などについて偏見があると従業員が思えば、会社の多様性へのコミットメントの信頼が即座に消滅します。これはマイノリティに限らず全ての従業員に共通します。

ビジネス・企業文化の課題解決

上記の3つの条件を満たすよく練られたプランは採用、人材の定着、人材パイプライン、公式・非公式な昇進プロセスへの偏見、市場へのより深い浸透度などのビジネス及び企業文化、両方の課題解決へと導きます。リーダーはそれらの結果を追求し、測定するべきです。

多様性とインクルージョンはこの40年間セットで語られてきましたが、両者は同じものではないということは紛れもない事実です。

同じものとして扱うと両者を改善する組織の能力が低下するため、両者は違うものとして理解、取り扱うことは大変重要です。

従業員にとって効果があるアプローチは、企業にとっても同様です。


Gallup https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/305057/3%25E3%2581%25A4%25E3%2581%25AE%25E6%259D%25A1%25E4%25BB%25B6.aspx
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